旧約聖書の生い立ちと成り立ち

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旧約聖書が書かれた年代と過程

旧約聖書の生い立ちと成り立ちは、どのようなものでしょうか。旧約聖書は長い年月をかけて、それぞれの時代に生きたイスラエルの人々によって書かれたものです。旧約聖書は、すべての人間に関わるメッセ―ジが含まれていますが、端的に言えば、イスラエルの歴史の書であり、その当時のイスラエルの人々に語られた預言が記録されています。しかし、史実として起きた時代と、それを記録して書かれた時代は違います。旧約聖書の最後の書は、預言書マラキです。預言者マラキは前400年代に預言しました。旧約聖書全体が、編纂されたのも前400年以降ということになります。[sg_popup id=”7179″ event=”click”]旧約聖書の大まかな年代と内容[/sg_popup]をリストで読む。


旧約聖書の成立

旧約聖書には、基本になる2つの写本があります。(他に死海文書がありますが、正典に関して言えばあまり関係はないので、死海文書についての説明は省きます。)その2つの写本とは、へブル語聖書と、ヘブル語聖書からギリシャ語に翻訳された70人訳聖書です。


まずへブル語聖書の正典について検証してみます。2つの学説がありますので、下に書き記しておきます。旧約聖書の正典について、簡単に結論を出して、決めつけているサイトを見かけますが、もう少し注意深く検証してみましょう。


二つの学説

伝統的な学説は、「旧約聖書に書かれているエズラの時代に、現在の正典である24巻がまとまった」という説です。この学説では、正典の過程は3段階に分けられます。まず第一に、モーセ5書と呼ばれる律法が、前5世紀にまとめられます。第二に、預言書は前3世紀にまとめられます。最後に、諸書が後90年に集まったユダヤ教学者によって決定されます。この会議は、ヤムニア会議と呼ばれています。


一方、この学説を否定している学者もいます。(私が学んだJack P. Lewis博士【Haravard Divinity School, Hebrew Union  Ph.D.】は、この主張を最初にした方です。)実際に、ヤムニヤ会議があったかという記録は、まったく皆無です。また、三段階の正典のプロセスがあったという学説に、決定的な根拠がありません。


また、旧約聖書のそれぞれの書の数え方も、時代によってまちまちだったようです。「聖書は22巻」と記録されている古代文献もあれば、「聖書は24巻」と書かれている文献もあります。もし本当にヤムニヤ会議が正典を決めていれば、その書の数え方も統一されていたのではないでしょうか。ユダヤ人の歴史家ヨセフス(後38年ー100年ごろ)は、聖書は22巻だと書き記しています。後1世紀に書かれた2エスドラス書には、ユダヤ教では伝統的に24巻と定めていると記されています。


ユダヤ人のラビ(律法の専門家)(前130年)であるベン・シラは、聖書は律法、預言書、諸書に分けられると明言していますから、この時代までにユダヤ人の間で、認識されていた正典があったのではないかと推測されます。


ヘブル語聖書の正典

ヘブル語正典は3種類に分けられています。まず最初は、創世記から申命記までの律法の書と呼ばれます。またヘブル語ではトーラーTorahといわれるものです。トーラーの意味は教え、戒め、広い意味ではユダヤ教における伝統と教え、限定的にモーセの書を指す場合もあります。 次に預言書で、前預言書、後預言書とに分けられます。ヘブル語でネビイーム、Nehveh‐Eemと言われます。前預言書の中には、クリスチャンが歴史書と考えるヨシュア記、士師記、1、2サムエル、1、2列王記が含まれています。1、2サムエルを1巻、1、2列王記を1巻と考え、ヨシャア記から2列王記まで4巻あると考えられています。これらの書を預言書に入れている理由は、単純にですが預言的要素が含まれていると考えられているからです。


後預言書にはイザヤ、エレミヤ、エゼキエル、12の小預言書が含まれています。この場合、プロテスタント聖書が一般的に指す12の小預言書、つまりホセヤ、ヨエル、アモス、オバデヤ、ヨナ、ミカ、ナホム、ハバクク、ゼパニヤ、ハガイ、ゼカリヤ、マラキまでを1巻と数えられています。つまりイザヤ、エレミヤ、エゼキエル、12の小預言書を後預言書4巻として考えられています。


そして諸書と呼ばれるものがあります。ヘブル語ではケトウビーム、Kehtu-Veemと呼ばれます。諸書は3つの分類に分けられます。まず、真理の書:詩編、箴言、ヨブ記の3巻、巻物:雅歌、ルツ記、哀歌、伝道の書、エステルの5巻、そして最後に歴史の書:ダニエル、エズラ・ネヘミヤ、歴代史の3巻です。エズラ・ネヘミヤは1巻として数えられています。


ヘブル語聖書の正典は、この3つの分類のヘブル語の頭文字から、TaNaKhとも呼ばれます。もちろん、ユダヤ人たちは、当然ですが、ヘブル語聖書を旧約聖書と呼びません。ユダヤ人にとって新しい契約は未だ存在しませんから、旧約聖書とは呼べないわけです。旧約聖書という呼び名は、2世紀のクリスチャンによってユダヤ教と区別するという意味でつけられました。書巻の数ですが、ユダヤ教では伝統的に24巻と定めています。しかし、22巻とも言われる場合もあります。この場合、士師記とルツ記を1巻、エレミヤと哀歌を1巻として数えています。

カトリックの旧約聖書の正典

次にカトリックの伝統を見てみましょう。ヘブル語正典の39巻の他に、ユディット書、トビト書、バルク書、ソロモンの知恵、1、2マカベヤ書、ベン・シラの知恵の7巻を第二正典として含んでいます。カトリックはこれを第二正典と呼びますが、プロテスタントはこれを外典と呼びます。単なる呼び名の違いですが、こんな所にもカトリックとプロテスタントの違いが出ていて興味深いものです。

プロテスタントの旧約聖書の正典

通常、皆さんが使う聖書には外典が含まれていないかもしれません。新共同訳をお使いの方は外典を読んだ方もいらっしゃるかと思います。外典を学ぶ理由として、3つ挙げられると思います。


(1)正典がどのように成り立っていったかを学ぶために役に立ちます。 (2)ユダヤ人たちの旧約聖書解釈を学ぶことによって、その当時のユダヤ人たちの物の考え方を理解できます。 (3)私はもう一つの理由として、旧約聖書の終わりが前400年から神の一人子である主イエス様が来臨するまで、この時代を中間時代ともいいますが、その頃のユダヤ人文化、歴史を知る上で非常に重要な資料だと思われます。


さてプロテスタントの正典を見てみましょう。正典の一つ一つはヘブル語聖書正典と同じですが、分類の仕方が違います。プロテスタントの正典は4種類に分けます。ここは、私たちが普段見慣れている分類だと思います。まとめてとして他と比べながら、みてみましょう。


モーセ5書が創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の5巻。歴史書がヨシュア記からエステル記の12巻です。諸書がヨブ記、詩編、箴言、伝道者の書、雅歌の5巻。


そして最後に預言書の大預言書と呼ばれるものがイザヤ、エレミヤ、哀歌、エゼキエル、ダニエルの5巻。小預言書と呼ばれるものがホセヤからマラキまでの12巻です。預言者に大、小の名前がついているのは、重要度を表しているのではなく、その預言書の長さを表しています。


さてどの正典が正しいのでしょうか。外典は、正典に入れるべきではいと私は考えております。分類としてはヘブル語聖書の分類が、イエス・キリストと1世紀のクリスチャンによって使われていたものと考えられます。

[sg_popup id=”7183″ event=”click”]へブル語正典、カトリック正典、プロテスタント正典[/sg_popup]を表にしました。

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